• テキストサイズ

レッテル 2

第4章 逃亡


あれから電車に乗って帰った。
駅を出て路地を通りながら、

"今日は楽しかったね"

なんて笑えたら、どれぼど良い気分で帰宅できただろうか。
そんなことを考えながら、あたしは目の前の男達を睨み付ける。

「……なんか用か?」

誠也君がそう言葉を吐き出した。
顔を歪ませて。

「お礼参りっスよ、あん時の。」

男達が…宮元が、口角をつり上げて不気味に笑っている。

「何言ってんだよテ―――。」

「勇人、桜連れて家に帰ってろ。」

誠也君は荷物をあたしに渡すと、勇人君の言葉を制して言った。

「でも、兄貴!!俺も――」

「いいから行けッ!!」

彼の目が真剣だ。
勇人君は彼から目を反らすと、

「…わかった。」

小さく答えた。

「いこっ、姉御。」

勇人君があたしの手を引っ張る。
振り向けばどんどん小さくなる彼の背中。
何だか不安になった。



/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp