第4章 逃亡
あれから電車に乗って帰った。
駅を出て路地を通りながら、
"今日は楽しかったね"
なんて笑えたら、どれぼど良い気分で帰宅できただろうか。
そんなことを考えながら、あたしは目の前の男達を睨み付ける。
「……なんか用か?」
誠也君がそう言葉を吐き出した。
顔を歪ませて。
「お礼参りっスよ、あん時の。」
男達が…宮元が、口角をつり上げて不気味に笑っている。
「何言ってんだよテ―――。」
「勇人、桜連れて家に帰ってろ。」
誠也君は荷物をあたしに渡すと、勇人君の言葉を制して言った。
「でも、兄貴!!俺も――」
「いいから行けッ!!」
彼の目が真剣だ。
勇人君は彼から目を反らすと、
「…わかった。」
小さく答えた。
「いこっ、姉御。」
勇人君があたしの手を引っ張る。
振り向けばどんどん小さくなる彼の背中。
何だか不安になった。