第4章 逃亡
ボッ―――
ようやく手に入ったいつもの煙草。
百円ライターで火を着ける。
「ふ―――。」
フィルター越しに吸い上げた煙を、一気に吐き出した。
でも何故か、彼の機嫌は最高潮に悪い。
伊藤はヒヤヒヤしながら高嶋を見ていた。
「チィース。」
「お久しぶりです、高嶋さん。」
カラフルな頭のB系ファッションの男達が五人程ゾロゾロとやって来た。
この男達は、以前薬物騒動で極使天馬にケジメをつけさせられた宮元達である。
高嶋が呼び出したのだ。
「おぅ…。」
力の入った目が彼等に向く。
「いつ出たんスか?」
黒髪の男が尋ねた。
「一昨日。」
高嶋はそう答えると立ち上がった。
そして、煙草を地面に放る。
「…テメーら、極使伝馬に恨みあんだろ?」
「…はい。」
スニーカーの裏で潰された煙草をチラリと見た宮元は頷いた。