第4章 逃亡
ギリギリと噛み締める奥歯。
異様な雰囲気を醸し出している為、人がそこを避ける。
まるで石を避ける川の水のように。
「高嶋さん買ってきました。」
そこへやって来る息を切らした伊藤。
煙草の箱を差し出す。
「あ?」
バコッ――
「いてぇッ!!」
それを見た高嶋は伊藤の頭を殴った。
あまりの痛みに頭を押さえる。
「誰がセッター買って来いッつったよ!?マルボロだろうがよッ!!」
「いや…俺セッターよく吸うんで――。」
「テメェの好みなんざしるかッ!!」
バコッ―――
「いてぇッ!!」
再び叩かれる頭。
「買い直して来いやッ!!」
「ぅ…ウッス。」
伊藤はまた走った。