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レッテル 2

第4章 逃亡



「……。」

息を乱す彼がゆっくりと動く。
あたしに覆い被さりながら。
目の前に愛しい人が居るのに、目を閉じるとアイツの顔が浮かんでくる。

――消えろ、消えろ、消えろ。

そう思うけど思えば思うほど逆効果。
瞼の裏にどんどん増えていく。

好きとかいう恋愛感情じゃない。

ただ悔しかった。

皆の関係を崩すような物言い。

思い出すだけで腹が立つ。

「…どうした?」

彼が動きを止めた。

「うぅんなんで――」

「…あいつの事か?」

彼にはなんでもお見通しらしい。
彼から目を反らした。

「心配すんな大丈夫だから。」

彼があたしの顔を手で自分の方へ向かせると、深くキスを落とした。
カーテンの間から差す光があたし達を照らす。

「な?」

彼が笑った。

「うん。」

あたしも笑う。
そして、目にはいる彼との繋がり。
思わずあたしは頬を紅潮させた。

「…ごめん。」

彼もあたしの見た方をちらりと見て頬を紅潮させた。



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