第4章 逃亡
朝方。
パサッ―――
「ん………。」
柔らかいものが身体に触れて目を開けた。
いつの間にか眠っていたらしい。
「こんなところで寝てたら風邪引くよ。」
彼女が笑顔で毛布をかけてくれている。
でも、まだ頬が赤い。
「痛むか?」
彼女の頬に触れた。
「うぅん、大丈夫。」
無邪気に笑う彼女。
ズクンッ―――
何故か胸が傷んだ。
彼女をまた危険にさらしたこと。
撃たれた時の事を思い出すと胸が熱くなった。
「来て……。」
笑う彼女を引き寄せギュッと抱き締める。
「どうしたの?」
急な事で、彼女が戸惑っている。
「ごめん……。」
彼女の胸に顔を埋めた。
微かに香る甘い匂い。
可愛い彼女に似合う可愛い匂い。
大好きな匂い。
苦しくなる。
胸が。
「ごめん……。」
再び謝った。