第22章 ダメ男
「…兄貴って時々情けなくなるよな。」
暗い部屋。
ベッドに横になる誠也を目の前に、勇人が呟いた。
「朝からピクリとも動かねぇんだよ。……それに姉御も帰って来ないし…。」
清治が困ったように頭を掻いた。
未だに動かない誠也。
生きているのか不安になるほど。
ダンッ――ダンッ――ダンッ――
ガチャ―――
「誠也なんで今日……あぁ、そういうことか。」
階段を上ってくる足音の後に開くドア。
中に入ってきたのは藤崎達。
連絡がつかない誠也を心配して来たのだが、ベッドで横になる誠也が目に入った瞬間に状況を理解したらしい。
あきれたように溜め息を吐いている。
「何?誠也ちゃん、また喧嘩したの?」
グイグイと中に入ってきたのは、空気を読めない奴ランキング一位の三善。
「なんで喧嘩したん?」
ズバズバと聞きづらい事を平気で聞くあたり、本当に空気が読めていないらしい。
「テメェは余計なことばっか言うんじゃねぇッ!!」
「話がややこしくなるから帰れッ!!」
「え?うそ?」
パーカーのフードを大川と西村に捕まれ引きずられる三善。
そのまま、部屋の外に追い出された。
カチャリ―――
そのまま鍵まで閉められる始末。