第3章 もう一人の男~
「姉御……。」
「そうだよ、上田さんは生きてる。」
声が聞こえてきた。
「お前の言うとおりだ。上田さんは生きてんだ俺達の中で。」
ポンポンと頭に温かい何かが触れた。
声のした方を見上げる。
「誠也君…。」
笑った彼がいた。
あたしも笑顔になる。
「くだらねぇ……そんなに大事なもんなら潰してやる。」
こめかみに青筋を立てた高嶋があたし達を睨み付けている。
「そんなことさせねぇ。」
誠也君も高嶋を睨み付けた。
「ガキが俺に勝てると思ってんのか?あ?」
「あぁ、勝てる。俺は大事なもん守るためならぜってぇ負けねぇんだ。」
誠也君が拳を握った。