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レッテル 2

第3章 もう一人の男~


「テメェはそうやって人の大事なもん汚していくんか?…アキが作った族を汚していくんかよッ!!テメェは極使天馬の面汚しだッ!!出てけッ!!」

叫び声が響いた。
皆が彼を見ている。
拳を握ってこめかみに青筋を立てる望田さんを。

「……っせぇ!!」

バキぃッ―――

あたしから手を放した高嶋が望田さんの顔面を殴った。
めり込んだ拳の下にある鼻から血がポタポタと垂れている。
けれど、彼は動かずジッと高嶋を睨み付けている。

「なんでも暴力で動くと思ってんのか?オメェはアキから何学んだんだよッ!!アキの言ってたこと忘れたんか!!アキの気持ち無にしやがって!!」

再び望田さんの拳が動いた。

バシィ―――

「アキアキアキアキ…うるせぇんだよ。所詮アイツは死んだんだ。無様にな。」

拳を受け止めた高嶋が笑っている。

「マジ傑作だよ。頭撃たれて死ぬとか。結局何も守れてね―――」

パシン―――

乾いた音が響く。

「はぁはぁはぁ……」

上下するあたしの胸。
宙に浮く手。
気づけば高嶋の顔を叩いていた。

もう後戻りは出来ない。

いや、最初から後戻りをするつもりもない。

ただ言いたかった。

「上田さんはずっと極使天馬の皆を守ってくれてる!!あたしも彼に命を助けられた!!上田さんは生きてるの!!皆の心の中で!!だから無様とか言うなッ!!守れてないとか言うなッ!!」

涙が溢れてきた。
霞む視界。
悔しくて唇を噛み締めながら何度も何度も特攻服の袖で拭った。

きっと誠也君も同じことを言うと思う。
誠也君だけじゃない。
皆もきっと。

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