第21章 感情
「お前…あいつの事可哀想だとおもったか?」
車に乗り込んでエンジンをかけた渡瀬が呟いた。
「……いえ。」
春本は嘘をついた。
少なからずも、春本はあの男を可哀想だと思っていた。
だけど、彼がそれを口に出すことはない。
「……この結果を招いたのは、あいつ自信だ。
それに可哀想だと思うな。
あいつらはしょせん"客"なんだからな。
払えねえ客は、身体はって払わせるのが当然だろうが。
……俺等の仕事は慈善事業じゃねぇんだよ。」
無表情で言った渡瀬が煙草を加えた。
その言葉に、火を着けた煙草から出るような煙に似た濁りはない。
心のそこからそう思っている様に聞こえた。