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レッテル 2

第21章 感情


車は走りだす。
無言で。

それが、男の恐怖をあおらせる。

「お前の選ぶ道は2つだ。」

「臓器は売りたくねぇ!!」

「は?テメェはいつの時代の話してんだよ。今時ねーよそんなの。」

男の言葉に渡瀬が鼻で笑った。

「お前の選ぶ道は2つだ。
死ぬまで汚ねぇ仕事をし続けるか、生命保健かけてトラックに飛び込むか。」

「どっちも嫌に決まってんだろッ!!」

「お前に選ぶ権利はねぇ、俺が決めてやる。」


――あれ?選択肢の意味は?


春本は無表情で運転する渡瀬を見た。
けれど彼はもうすでに電話をかけている。

「あぁ、いつもお世話になってる渡瀬です。
今日新しいの入るんですけどいいですかね?
あぁ、そうですかそれは良かった。
じゃあ、すぐ行きます。」

そう言って切った通話。
調度信号に引っかかった為、渡瀬が振り向く。

「ついこの間、作業員が一人減ったとかで大喜びしてたぞ。良かったな。」

振り向いた渡瀬が不気味に笑っている。

「減ったって……どうしてですか?」

春本が尋ねる。

「過労死したんだよ。」

「ひいぃぃいい!!」

渡瀬の言葉に男が酷く怯えた。


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