第21章 感情
「催促状も出した、事前の電話もした。
それでも逃げるって事は……払う気ねぇよな?」
古いアパートの入り口。
地面に転がる髭面の男を見下ろしながら、渡瀬が呟いた。
「催促状の一番下見ました?
"もし、逃げたり応じなかった場合はそれなりの手段をとります。"
そう書いてましたよね?
完全にナメてますよね?」
ニコニコと渡瀬が営業スマイルを顔に張り付けている。
「お前ら違法――。」
「とりあえず、ご近所に迷惑だから車に乗ってもらえます?
乗ってくれますよね?」
「……はい。」
ズルズルズル―――
ガラガラガラ―――
バサッ―――
バンッ―――
男が頷いたのを確認すると、渡瀬は車に男を放り込んだ。
そして、渡瀬と春本は車に乗り込む。