第21章 感情
「お料理教室行ってくるわね。」
午後二時前。
ママは、あたしと平さんを家に置いて出かけた。
聞こえてくるのはテレビの声。
リビングのソファーに座ったあたしと平さんの間には距離があった。
「………。」
「………。」
先程から会話はない。
だけど、緊張してる。
というか、男性と二人っきりの空間で緊張しない人なんているの?
しかも、何気に平さんってルイに似てるし……。
……て、あたしは何を考えているのだろうか。
こういう所が優柔不断で誠也君を不安にさせてしまう原因だ。
誠也君…何してるかな…。
いやいや、あたしにはあんな人の事なんて関係無い!!
どうでもいいんだ!!
テーブルの上にあるオレンジジュースを一気に飲み干した。