第21章 感情
住宅街抜けるとチラホラ見えるガラの悪い連中。
昼間っから缶ビール片手に地べたに座り込んでいる。
上は電車が通っているため、日が当たらない。
そんな道を、お世辞でもガラの良いとは言えない清治が通れば、
「おい、ガキぃ……。」
「は?」
目をつけられてしまう。
――めんどくせぇ…腹減ってんのに。
イライラしながら捨てる短くなった煙草。
なにが楽しいのか、ヘラヘラと笑う目の前の男達。
見た目は二十歳前後。
たまらなく酒臭い。
「通行料…払え。」
頬の赤い髭面の男が手を出した。
「はぁ?」
このバカは何を言っているのだろうか。
頭の中まで酒でイカれているらしい。
と、清治は訝しげに男を見た。
「パチンコでスッちまってよぉ…払えっつってんの。」
「しらねーし、ヤミ金にでも借りれば?」
胸ぐらを掴んだ汚ならしい手を振り払うと、清治は服装を正した。
無駄な争いはやらない。
喧嘩も同じ。
それは誠也から学んだ事だ。