• テキストサイズ

レッテル 2

第21章 感情



住宅街抜けるとチラホラ見えるガラの悪い連中。
昼間っから缶ビール片手に地べたに座り込んでいる。
上は電車が通っているため、日が当たらない。
そんな道を、お世辞でもガラの良いとは言えない清治が通れば、

「おい、ガキぃ……。」

「は?」

目をつけられてしまう。

――めんどくせぇ…腹減ってんのに。

イライラしながら捨てる短くなった煙草。
なにが楽しいのか、ヘラヘラと笑う目の前の男達。
見た目は二十歳前後。
たまらなく酒臭い。

「通行料…払え。」

頬の赤い髭面の男が手を出した。

「はぁ?」

このバカは何を言っているのだろうか。
頭の中まで酒でイカれているらしい。

と、清治は訝しげに男を見た。

「パチンコでスッちまってよぉ…払えっつってんの。」

「しらねーし、ヤミ金にでも借りれば?」

胸ぐらを掴んだ汚ならしい手を振り払うと、清治は服装を正した。

無駄な争いはやらない。
喧嘩も同じ。

それは誠也から学んだ事だ。
/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp