第21章 感情
「…んだと!!」
だけど、そうも言ってられない時もある。
口よりも手が先に出る相手は、綺麗事は言ってられない。
振り上げられた男の拳が顔面目掛けて降りてくる。
ゴガッ―――
頬にめり込む拳。
横を向いた清治の口角から血が線を描いた。
「こいつメチャクチャよえー、さすがガキ!!」
それを見て、バカみたいに高笑いする男達。
「……誰が?」
「は?」
――ゴシャアッ
「ぶへぇッ――」
気付けば鼻にめり込む拳。
潰れたような鼻から吹き出る鼻血。
見た目よりも威力が激しくて、ひどく痛む。
まるで折れたかのように腫れ上がる鼻。
垂れる血は、治まることを知らない。
「先に殴ってくれてありがとう"オジサン"。これで正当防衛成立だから殴ってもいいんだよね?」
ボキッボキィッ―――
「骨折ってもかまわねぇよね?」
拳を鳴らしながらニタァと笑う清治。
影が出来た顔は、恐怖心をあおる。