第21章 感情
「そういえば、ちゃん。秋本君は来ないの?」
ギクッ――
わざとじゃないとしても、ママは痛い所をつく。
本来、触れて欲しくない話。
思い出すと腹が立って、躊躇(ちゅうちょ)していた手がどんどん動く。
モグモグモグ―――モグモグモグ――
今、あたしはどんな表情をしているだろうか。
気付けば向かいに座る、平さんがあたしを見ていた。
「……あの……何か?」
自分とは違うブルーの瞳。
なんだか恥ずかしくなる。
「………別に。」
彼はそう言うと、目を反らした。
――そういえば、平さんって日本人離れした顔してるな。
鼻筋もそうだけど、外国人みたいな顔をしている。
というか、目の下の隈…すごいな。
寝てないのかな。
「……どうかしたか?」
今度は彼が尋ねてきた。
「いえ…何も――。」
慌てて顔を反らしたので、相手がどんな顔をしていたのかわからなかった。