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レッテル 2

第20章 債務者と書いてカモと読む



満腹になったお腹。
あの後デザートまでたいらげた渡瀬は、平気な顔をしている。
大食漢なわりには肥っていない身体。
どんな胃の働きをしているのかと、春本は気にしていた。

「社長ごちそうさま。」

なぜか上機嫌の加奈恵。
鼻唄混じりでスキップしている。
もう一度言うが、渡瀬は彼女に"奢る"とは一言も言っていない。

勝手に彼女が渡瀬に払わせたのだ。

「社長すいません。」

加奈恵とは真逆で、申し訳なさそうに春本が言った。

「気にすんな。お前"は"奢るっていったんだから。」

「何それ?社長、あたしをいじめたいの?」

「……お前の頭を一回割ってみてぇ。」

そう言った渡瀬の顔がわずかに歪んでいる。

「結婚してくれたら、いいですよ?」

「消えろ。」

ベッタリと腕にまとわりついてくる加奈恵を、振り払いながら吐き出す。
加奈恵は渡瀬に好意を持っているらしい。
誰が見ても直ぐに分かる。
そして、渡瀬が彼女に興味がないということも。
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