第20章 債務者と書いてカモと読む
「今日は奢ってやるから何でも頼め。」
「…すいません。」
昼時のファミレスは人で溢れかえっている。
窓際の席に着いた二人。
気付けば窓の向こうの道も人で溢れている。
さまざまな身なりの男女が歩いていて。
その人達の事情など興味もなく、ただメニュー表を眺めていた。
「お待たせしました。」
渡瀬の前に置かれたのは肉厚のステーキ。
鉄板の熱で肉が焼ける音と、滴り落ちる肉汁。
それに、皿に盛られた大盛りのご飯とスープとサラダ。
見るだけで胸焼けがしそうだ。
一方の春本はサンドイッチにコーヒー。
見た目に差がありすぎる。