第3章 もう一人の男~
「下は上に逆らわねぇ…それが族だろうがよ。」
落ち着いた高嶋が、再びソファーに座り煙草をふかしている。
皆が眉間にシワを寄せて彼から顔を反らした。
OBの人達もなにも言わない。
何で?
上と下ってなに?
仲間であって家族じゃなかったの?
あたしはギュッと拳を握った。
そんなの間違ってる。
この人のせいで―――
「ちがう。あなたの考えを皆に押し付けないでッ!!」
無意識に口が動いていた。
身体も前に進んでいる。
もう限界だ。
族を、仲間を、家族を崩さないでほしい。
OBの人や極使天馬の皆が驚いている。
高嶋は眉間にシワを寄せてジッとあたしを見た。
「あ?」
低く吐き出される威圧的な言葉。
目付きも尋常じゃないくらい恐い。
――だけどあたしは間違っていない。
揺るぎそうな心にそう言い聞かせた。