第1章 絶望の宴
神影の事務所のヘリポート。
冷たい風を浴びながら江田が睨み付けている。
やっと会えた妹と自分を引き裂く男、花村を。
銃口は、ずっと花村を捉えている。
しかし、引き金は引けずにいた。
レイカの喉元に当てられた刃。
それを見ると引く決心がつかない。
兄妹とも知らずに身を重ね、彼女に江田は惹かれていた。
恨んでいた相手の筈の妹。
一人の女性として想いを寄せる人。
それが同一人物と知って、胸が引き裂かれる感覚が身体に走った。
だけども、一人の男…いや、兄として妹を守りたい。
そんな想いが江田の中で駆け巡る。
「撃てるもんなら撃ってみろ。」
余裕の笑みを浮かべながら花村が江田を見ている。
パァンッ―――
銃声が鳴り響いた。
「ぐぁっ―――。」
カンッカランッ―――
花村の右肩に弾丸が命中した。
ドスが地面に音を立てて落ちる。
花村の両肩がブラブラと力無く垂れ下がっている。
タラタラと指先から血を流し、もはや使い物にならない。
「兄さん!!」
「レイカ!!」
花村から解放されたレイカが江田のところまで走った。
二人が抱き合っている。