第1章 絶望の宴
「 ……。」
誠也が再び を抱き締めた。
か細い虫の息の彼女を包み込みながら震えている。
――守るって言ったのに…助けるはずだったのに…俺が守られた。
目頭が熱くなる。
熱い思いが、胸の奥から込み上げてくる。
――死ぬな、死ぬな、死ぬなッ!!まだ、お前を失いたくねぇよ!!
キュッと唇を噛んだ。
「…その子いい子だからさ、なんつーか…お前の気持ちわかるよ。」
後ろから声がした。
堀田だ。
「お前に何がわかんだッ!!」
振り向かずに誠也は叫んだ。
「分かるって。だって俺、お袋目の前で殺されたから。」
頭を掻きながら堀田が言った。
苦しそうに笑っている。
「でもよ、お前にはやんなきゃなんねー事があんだろ?ケリつけて来いよ…彼女の為にも。その子は俺が見てるから。」
「………。」
堀田の言葉に誠也は黙っていた。
「ようわからんけど、ワイもそれがいいと思う。救急車じゃ遅いからヘリ呼んだしな。」
「ならば、行こう。」
白川が立ち上がった。
「どこへ?」
藤堂が白川を見ている。
「花村の所に決まってるだろ。」
そう言って入り口へ向かった。