第20章 債務者と書いてカモと読む
「棗ッ!!」
驚かせようと思ってノックをせずに開けたドア。
でも、それが間違えだったのかもしれない。
「え……?」
ベッドの上に無造作に寝ていたのは、知らない男。
身体が大きくて、山吹色の髪の人。
眠っているから分からないけど、どこかで見たことがあるような気がした。
とりあえず、ここは気付かなかったフリをする。
そーと閉める扉。
「痛ッ!!」
そういう時に限って挟む足の指。
しかも、小指。
激痛が走る。
――最悪っ……。
痛みで悶えていると、
「……誰だ?」
ベッドの上で眠っていた人物が目を覚ました。
ゆっくりと起き上がり此方を見ている。
「あ……。」
よみがえる記憶。
山吹色の髪の男。
「………。」
起き上がった彼は、なにも言わずにジッとあたしを見ていた。