第20章 債務者と書いてカモと読む
「久しぶりに帰って来たなぁ…。」
見馴れた家。
住み馴れた実家。
"朝日"と書かれた表札が懐かしい。
キィ……
門を開けて、相変わらず大きな玄関の扉の前に立つ。
ガチャガチャ――
ママが出掛けているのか、鍵は閉まっていた。
仕方なく、久しぶりに出した鍵でドアのカギを開けた。
カチャ―――
「あれ?」
ドアを開けると知らない靴があった。
黒い大きなスニーカー。
見覚えがない。
――棗が新しい靴を買ったのだろうか。というか、棗も学校サボったんだ。
久しぶりに弟の顔が見たいと思い、ローファーを脱いで二階へ向かった。