第20章 債務者と書いてカモと読む
サラリーマンの男性や、OLが通りすぎていく。
もうすぐ昼飯時だ。
「こいつらも一見まともに見えるが、中身は複雑だ。
例えば、アイツ。」
指差す先にいたのは、極普通のOL。
見た目は少し派手だが、周りのOL達と楽しそうに話している。
「あぁ見えても借金だらけだ。
周りに合わせて無理しすぎた結果、金融会社のブラックリストに載ってる。
その情報が俺の所に流れてきて、今では俺の"カモ(債務者)"だ。」
「………。」
――見た目と中身にギャップがありすぎる。
春本はゴクリと息を飲んだ。
"見た目で騙されるな"
彼はその言葉の意味がなんとなく分かる気がした。