第20章 債務者と書いてカモと読む
「春本(はるもと)…来い、現実を見せてやる。」
「は…はい。」
若い社員…もとい"春本"は渡瀬の後に続いて事務所を出ていく。
「あー、佐田(さだ)さん。今日回収日だけど事務所これる?…入院?…あそ。」
携帯で電話をかけた渡瀬。
直ぐに通話は切られる。
しかし、顔色ひとつ変えない彼に、春本は少しながらも恐怖を覚えた。
歩いて数十分。
着いたのは、騒がしいパチンコ屋。渡瀬はその中へ入っていく。
――社長、パチンコでもすんのかな?
そう思いながら、後に続いて中へ入る。