第20章 債務者と書いてカモと読む
「社長、やりすぎじゃ…。」
若手の社員がポツリと呟いた。
「やり過ぎもクソもあるか。
どこの金融もパンク状態の奴を拾ってやってんだ。
感謝される覚えはあっても、恨まれる覚えはねーよ。
それに――」
渡瀬は、取り出した煙草をくわえ、火をつけた。
「あいつはもう終わりだ。
あとは、取り敢えずあいつの旦那からしぼりとれ。」
「はい。」
頷いた城山が、電話をかけ始めた。
若い社員はジッとそれを見ている。
「あ、もしもしそちらに高橋さんって方います?
私、白川ファイナンスの城山という者ですが高橋さんにちょっとご相談がありまして―――」
普段恐い顔の男がにこやかに話している。
若い社員はそれを見て身震いした。