第20章 債務者と書いてカモと読む
「はい。」
結局、ゲーム機は業者の手で運び出される。
当然、兄弟は泣いていた。
「泣くな。」
上から見下ろす渡瀬。
キッと兄が下から睨み付ける。
「一生懸命働いた?の結果がこれか?恨むんなら親を恨め。」
「お父さん達は悪くない!!お父さん達の文句言うな!!」
「……なら、ひとついいこと教えてやる。世の中上手く渡れる奴と渡れねぇ奴がいる。
お前の親は後者だ。」
鼻で笑いながら、部屋を出ていく渡瀬。
「どういう事なんですか!?これは!?」
すると、帰ってきた母親が、驚いた顔で見ている。
「利子の支払日は昨日だ。支払わなかったから回収に来ただけだ。」
しかし、渡瀬は彼女の顔を見ずに通りすぎていく。
「警察に――」
「…言えるもんなら言ってみろ。」
振り向いた渡瀬の口角が、不気味につり上がった。