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レッテル 2

第3章 もう一人の男~



「……嫌ッス、それだけは出来ねぇ。」

唸るような声で誠也君が言った。

「あ?」

高嶋の眉間にシワが寄った。

「アンタになんと言われようと渡さねぇ。それに…桜は物じゃねぇ。物を借りるような言い草、やめてくれねぇか?」

「ぁあッ!?」

ドガぁッ―――

拳が誠也君の頬に入った。
彼の顔が横を向いた。

「なんだ、その口の聞き方?いつからテメーは俺より偉くなったんだ?」

再び拳が上がった。

「ヒロ止めろッ!!」

バイクから降りた望田さん達が走ってきて高橋を止める。

「いつからそんな口聞けるようになったんだって聞いてんだよッ!!答えろッ!!」

望田さん達に腕を掴まれていても彼はまだ暴れている。
誠也君は横を向いたままなにも言おうとしない。
口角から血が垂れている。
けれど、それを拭わず、拳をずっと握っていた。




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