第3章 もう一人の男~
「やっぱ、娑婆(しゃば)に出たら煙草吸わねーとな。あと女でもいたら最高なんだけどよぉ…なぁ、秋本?」
高嶋の目が彼に向いた。
さっと彼があたしを隠す。
「つーか、なに皆黙ってんだ?暴れねーのか?あ?集会だろうがよ。」
再び、高嶋が煙草の煙をフィルター越しに吸い上げた。
フーと吹き出される煙。
極使天馬の人達はジッと彼を見ていた。
この人が現れてから、空気が重く感じる。
何かある。
この人はきっといけない人。
ジッと影から男を見た。
「もしかして、アキがいねーから暴れられねぇのか?」
ガシッ――
バイクから離れて誠也君の所まで来た高嶋が彼の髪を掴んだ。
「殺されてぇのか?」
高嶋の口から吐き出される煙が、誠也君の顔に吹きかかる。
誠也君はギュッと拳を握っていた。
その手がワナワナと震えている。
「てか、女いんじゃん。なに?お前の女?」
手を放した彼の目があたしに向いた。
舐めまわすように見ている。
――キモチワルイ
まるで繁殖期の雄の動物のような目付きであたしを見ている。
ギュッと彼の特攻服を握った。
「後で貸して……いや、もちろん貸してくれるよなぁ?」
再び目が誠也君に向いた。