第3章 もう一人の男~
「そうそう、でも俺抜きとか無くね?」
暗闇から声がした。
ヴォンヴォンヴォン―――
バイクの甲高い排気音が聞こえてくる。
そして、パッと目を眩ますような眩しい光が急に付いた。
「ヒロ……。」
望田さんが呟いた。
皆が静かになる。
「久しぶり、あー…2年ぶりか?」
暗闇から顔が浮かび上がった
短い髪に金の龍の刺繍の入ったジャージを着た男の人が、口角をつり上げてバイクに跨がっている。
暗闇が顔に影を作り、男の不気味さを引き立てていた。
「高嶋さん…いつ出たんスか?」
誠也君が尋ねた。
声に違和感がある。
いつもの彼となんだか違う気がした。
「ん?昨日。」
高嶋はバイクのエンジンを切ると、バイクに寄りかかり煙草をくわえた。
ボッ――
百円ライターから作り出された火に煙草の先を当てる。
ユラユラと煙が上がった。
フー――
そして、吐き出される煙。
妙な緊張感が走る。
ゴクリ――
誠也君の喉が音を立てた。