第19章 君、金と薬に溺れていくことなかれ
薄いテレビから聞こえてくる銃声。
戦場の様なステージで、兵士たちが撃ち合いをするというなんともシビアなゲーム。
「…なんで龍星に顔出さないんスか?」
コントローラーを握った棗がポツリと呟く。
「……つまんねぇから。」
親指が力なくコントローラーのボタンに触れる。
「皆言ってましたよ、薬に溺れて死んじゃったんじゃないかって。……心配してるんです、仲間は。」
「は?」
棗の言葉に、亜久里の手から力なくコントローラーが落ちていく。
――心配?
ゴトッ―――
落ちたコントローラーが音を立てた。
「たまには顔を――。」
「…んなことありえるわけねーだろ。」
「……え?」
「口だけならなんとでも言えるんだよ。」
ゆっくりと立ち上がる足。
上から吐き出すように言った言葉。
孤独に生きてきた者は急には変われない。
どんな言葉さえも嘘に聞こえてくる。