第3章 もう一人の男~
土曜の夜。
集会場所に着いた彼がキョロキョロと辺りを見渡していた。
「どうしたん兄貴?」
藤崎先輩のバイクの後ろに跨がっている勇人君が、不思議そうに彼を見ている。
「いや…なんでもねぇ。」
彼は何か言いたそうだったが、顔を横に振った。
――いやな予感がする。
彼のバイクの後ろに跨がっているあたしはそう感じていたが、あえて聞かなかった。
彼が言わないのに無理に聞くのは良くない。
そう思ったからだ。
ヴォンヴオォォン――ヴォヴォヴォ―――
「よう、これ着るのマジ久しぶりだわ。」
派手なバイクに乗った特攻服姿の望田さんがあたし達の所まで来るとそう言った。
彼の後ろに南雲さんがのっている。
「チェーッス!!……あれ石田さん達は?」
誠也君がキョロキョロと辺りを見ている。
「後ろにいんよ、アイツが後ろから来ねーともかぎらねぇからな。」
煙草を吸っている南雲さんが親指で後ろを指差した。
「…って、アチッ!!火近づけんな!!」
望田さんが叫んだ。