第18章 自己流“彼女の扱い方”
「誠也ちゃん、弁当食べんならちょうだい。」
飲み物を飲みながら翔が俺を見ている。
全く弁当に手をつけていない俺。
そう思われるのも当然。
「んなわけねぇだろ。」
そう言って、掻き込むように急いで弁当を食べる俺。
正直味なんて覚えていない。
それを唖然とした表情でみんなが見ていた。
「お前、梅干嫌いだったか?」
拓が苦笑しながら最後に残った赤いモノを見ている。
「嫌いじゃねぇけど…。」
朝の一件でうんざりしている。
隣では事情を知っている清治が笑っていた。
「やっぱり、桜ちゃんは優しいな。」
拓の口元が緩んだ。
そして、
「梅干は疲れに効くんだよ。」
呟くように言った。