第18章 自己流“彼女の扱い方”
不機嫌な彼女が俺の隣を歩く事はない。
一歩も二歩も先を清治と一緒に歩いている。
端から見れば、二人はお似合いのカップル。
笑いながら並んで歩くに清治。
俺は一体何なんだと思ってしまう。
「これ、誠也君の分。こっちは清治君の分。」
けれど、彼女は喧嘩していても弁当は作ってくれていた。
内心、梅干がギッシリと詰まっているんじゃないのか不安になるが、作ってくれた事には感謝する。
「わりぃ。」
昨日の事も。
言えるはずのない言葉は、俺の中に消えていく。
「ありがとう、姉御。」
隣では、清治が微かに笑っている。
一人増えた家族。
大事な弟。
彼女と同じくらい大事にしようと思った。