第3章 もう一人の男~
「明日雨降るなよぉ!!」
手を合わせて、天に願う。
明日は土曜日。
土曜の夜は集会の日。
雨が降られては派手に暴れられない。
「つーかさ、もう十二月だろ?なんか忘れてる気がするんだよ。」
何か大事なことを忘れている気がする。
そう思いながら考えて見るが、その"何か"が浮かんでこない。
「俺もそんな気がする。」
拓も何かを考えているようだ。
「まぁ、そんなことよりも、望田さん達バイクで走んねーかな。あの五人が来ると――」
「ちょっと待て。」
俺が言いかけていると、拓がそれを制した。
「なんだよ?」
不思議そうに拓の顔を見る。
「五人て上田さん数に入れたのか?」
拓の眉間にシワがよる。
「いや、高嶋さんを…あ!!」
俺は思い出したように声を上げた。
「やっぱりな。」
拓の表情が暗くなった。