第3章 もう一人の男~
「あのさぁ……本当にお前のせいじゃないからな。」
ベランダに出た俺は、拓の隣に立って言った。
雲しかない空をジッと見つめる。
明日は雨か?
そんなことを考えながらただ見つめていた。
「………。」
拓は口を開かず考え込むようにジッとしていた。
だから言った。
いや、今だからこそ言うべきだと思った。
「そんなんで、俺の後ろ走れんのか?」
ニヤリと笑いながら拓を見た。
拓は一瞬フッと笑うと、
「どこまでも走ってやるよ、お前の後ろを。副総長として、親友として。」
こちらを向いてニヤリと笑った。
「だよな。」
「おう。」
と、お互いの拳を合わせる。
これが俺達の昔からの癖。
親友の証だ