第16章 外れる鎖
「終わったんだね全部。」
家に帰った後。
手早く作ったご飯を並べた食卓を皆で囲む。
「終わってねえよ…何も。」
ご飯を口に含んだ彼が低く呟く。
「残念だけど、それが正解。」
隣に座る清治君が、彼の言葉に続いた。
「あとさ、一つ言っていいか?」
「うん。」
「……何でテメー等まで普通に飯食ってんだよ!!」
スプーンを置いた彼がテーブルを叩いた。
「いや、姐さんがご飯食べていけって言うから。」
そう言いながら山代の若中がカレーを口に含んだ。
「さすが若の嫁さんになるお方。人参がハートとか可愛らしい。」
強面の男達の口元が緩む。
「嫁?」
誠也君の顔は真逆で歪む。
「コイツ等が勝手に言っとんじゃ。」
そう言いつつも、カレーを食べる彼の顔は満更でも無さそうだ。
ややこしいことになってきた。
羨ましいことに、清治君と勇人君は関わりたくないようで無言でご飯を食べている。
あたしのスプーンはさっきから進まないというのに。