第16章 外れる鎖
「じゃあ、気をつけて。」
車の運転席に座る宗次郎さんが、窓を開けて言った。
「宗次郎さんも気をつけて。」
「あぁ、ありがとう。」
そう言って警察署を出ていく車。
誠也君は最後まで彼と話さなかった。
終始機嫌が悪そうで、煙草を吹かしている。
それよりも、
「……なんで、オッサンアイツと帰んなかったんだよ?」
善司が車に乗らなかった事が不思議でしょうがない。
「あ?おどれの家に下っぱ置いとるから、そいつらと一緒に帰るんじゃ。」
「だからって残る必要ねぇだろ。」
「それはワシの勝手じゃ。帰るぞ、嬢ちゃん。」
「えッ!?」
肩に触れる善司の手。
状況が理解出来ずに、あたふたとしてしまう。
「なんでお前が仕切ってんだよッ!!」
煙草を捨てた彼が後ろから走ってくる。
清治君はゆっくりとその後ろを歩いて来る。
暫く騒がしかったのは言うまでもない。