第16章 外れる鎖
「今日はありがとうございました。」
警察署の前。
深々と下げるあたしの頭。
目の前には宗次郎さんがいる。
「いや、気にしなくていい。」
優しい笑顔で答える彼は、あたしよりずっとずっと大人だ。
雰囲気がそう感じさせる。
「けッ――。」
それを見て、善司が不服そうに吐き出した。
「善司さんもありがとう。」
この人にも助けられた。
色々と。
「別に、わしゃ何もしとらんわ。」
目を合わさずに顔を反らされた。
なんだか複雑な気分になる。
無視されてないにしろ、顔を背けられるのは辛い。
「まぁ、よかったの。ガキが戻ってきて。」
けれどクシャクシャと頭を撫でられる。
口元は僅かに笑っていた。