• テキストサイズ

レッテル 2

第3章 もう一人の男~



でも、ただ一人その空気に馴染めてない人がいた。
その人はずっとベランダで、綺麗な星を隠す汚れた雲に覆われた空を眺めている。

「拓…まだ気にしてんのか。」

誠也君もベランダに出た。
彼が扉を閉めたので、何を話しているかは分からない。
でもただ、その人…いや藤崎先輩は苦しそうな表情でジッと眺めたままだ。

"あたしもベランダに出ようか"

そう考えたけれども、自分が出る幕ではないと感じたあたしは、出るのを止めた。

「大丈夫だよ…あの二人は。」

頬を赤くした西村先輩がポツリと言った。

「そうそう…気にせず俺とベッドに行こう!」

完全に酔っ払っている三善先輩があたしの肩に触れた。

「オメーはそんなことしか言えんのかッ!!」

バコぉッ――――

「いてぇええッ!!」

大川先輩が三善先輩の頭を殴った。
今日は威力が強いのではないか。
あたしは、三善先輩の悲鳴の違いでそう思った。


/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp