• テキストサイズ

レッテル 2

第16章 外れる鎖



ガンッ―――


激しく降り下ろす拳。
叩く鍵の付いていない取っ手。
これを壊せば、鍵も壊れて開くかもしれない。
望みの少ない賭けだけど、ここで腐っているより遥かに良い。
だから、何度も叩き続けた。



いつの間にか拳から滲(にじ)む血。
別に痛みはない。
それよりもわずかにだが、取っ手がはずれかかっている。


――これはもしかするといけるかもしれない。


淡い期待が胸を過る。
もう一度腕をふり降ろそうとした。



カタッカタッカタッカタッ――――


すると聞こえてくる足音。
何故かこちらに向かってくる。
俺はとっさに元の場所に戻り座る。


ガチャガチャ――


鍵をあける音が聞こえてきた。


――誰だ?


ゆっくりとドアが開く。


「誠也君。」


聞き覚えのある声がした。



/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp