第16章 外れる鎖
「何を企んでる?」
さほど大きくない部屋。
宗次郎さんが低く唸るように言った。
「別に…何も企んどらん。」
橋田は平然を装っているが、明らかに動揺していた。
「嘘を付くな。また秋本を使って彼女に手を出そうと考えてるんだろ?」
――あっ……嫌だ。
また夏の記憶がよみがえってきた。
椅子に座ったあたしは、ギュッとスカートを握りしめ俯く。
「………。」
黙って壁に立っている善司はそれを見ていた。
いつになく真剣な表情で。
「な…何の事だ?知らんな。」
しらばっくれる橋田。
額から垂れている汗が尋常じゃない。
「とぼけるな。……お前を潰すなど、俺には簡単な事だ。今すぐにでも――」
「まっまて……お前の目的はなんだ?」
鋭く睨み付けてくる宗次郎に、橋田は焦って問う。
「秋本の解放……それだけだ。」