第16章 外れる鎖
「久しぶりだな…橋田。」
腕を組んだスーツ姿の宗次郎が、壁にもたれ掛かって口を開いた。
ダークブラウンの瞳が、ジッと醜い男を見つめている。
悪い意味で。
「お前に話がある……色々と。」
そう吐き出した言葉に少なからず怒りを含んでいた。
この課に来る途中、桜から話を聞いていたのだ。
夏に起きたあの汚ならしい橋田の行いを。
何かを橋田は察していた。
その為、足がすくんで動かない。
「そこの脂肪の塊!!さっさと来んかいッ!!」
「ひッ――。」
更に怯える橋田。
彼にとっては知らない男が一人増えた。
しかもかなりガラが悪く、機嫌も悪い。
「だまれ、お前が出てくるとややこしくなる。」
「これが黙ってられるかい!!汚い事する奴は大嫌いなんジャ、ワシは!!」
今度は入り口で揉め始めた。
部屋にいる刑事達が何事かと2人を見ている。
「騒いじゃダメですよ、落ち着いてください。」
また、一人増えた。
今度は制服姿の女子高生。
全く2人には合わないような綺麗な少女。
こんな時でも橋田はミニスカートから見える生足に釘付けだ。
汚ならしくにやけている。
本当にスケベな男だ。