第15章 疑いと手枷
「何で、ワシがガキと後ろに座らんといけんのじゃ!!」
移動する宗次郎さんの車の中。
スピーカーから流れる、刺激のない音楽を遮るような騒音が響き渡る。
「うるさい、お前は今すぐ降りろ。」
そう言って、善司が座っている所の窓が開いた。
まるで、"窓から出ろ"と言わんばかりに冷たい風が入ってくる。
「いや、流石にムリじゃろ!!」
「ならば、静かにしろ。」
再び閉まる窓。
「ワシも嬢ちゃんと座りたかった。」
微かに聞こえてきたが、聞こえないフリをした。
宗次郎さんも、同じ。
運転に集中している。
あれから、直ぐに宗次郎さんの車で警察署に向かうことになった。
「また、迷惑かけてしまって……すいません。」
助手席に座るあたしは、小さく謝る。
「いや、かまわない。…そんなこと気にしなくていい。」
そう言った宗次郎さんの口許が優しく緩んだ。
「………けッ――。」
それを見て、善司が舌打ちした。