第15章 疑いと手枷
「どうした?」
恥ずかしそうにしているあたしを、宗次郎さんはジッと見ていた。
ここからも感じる視線。
だけど、あたしが早く言わないかぎり、誠也君を助ける事が出来ない。
「あの――。」
意を決して、口を開いた。
「あー、そういや秋本のガキが捕まったんじゃった。わすれとった。」
が、先に言われる相談内容。
「どういうことだ?」
宗次郎さんの目が善司に向いた。
――自分の口で言いたかった。
何故か複雑な心境になった。
「嬢ちゃんが泣き出して、あの銀髪のガキが来て"秋本を助けてくれ"言うからお前のとこに来たんじゃ。」
「……お前に聞いた俺がバカだった。」
再び宗次郎さんは、深く溜め息を吐きながら頭を抱えた。
――今こそあたしが言うべきだ。
「あの――」
「隣町に"死鬼"って愚連隊があるんです。そのトップが"進藤"っていうタチの悪いやつでして、そいつが女使って秋本さんをサツに売ったんです。」
また、あたしの言葉は清治君によって遮られてしまった。
「…そうか。」
宗次郎さんは、理解出来たように頷いた。
「ワシもそれを言おうとおもっとったんじゃ。」
「お前は黙れ、話がややこしくなる。」
鋭い目線が善司に突き刺さる。
――今思ったけど、宗次郎さん善司さんには冷た いなぁ…。
ジッと彼等を見た。
「なんジャと?おどれは、ワシの親切を無にしやがって……。」
「親切?迷惑の間違えだ。」
「いちいちムカつくんじゃ、おどれは!!」
叫ぶ善司の眉間に大量のシワが寄った。