第15章 疑いと手枷
憎まれ口を叩いても、橋田はニヤニヤと笑っていた。
悪趣味だろ。
それとも単なるバカか?
どっちにしても、一発殴りてぇと思うのは俺だけか?
「……ザマァミロ。」
聞こえてきた掠れた声。
なんども聞こえてくる。
まるでお経のように。
けれど、完全に無視。
「……負け犬。」
これも無視。
つーか、それオメェだろ。
あぁ、わりぃ。
"負け豚"だったな。
「……ゴミ。」
無視。
ガキかコイツは!?
今時そんなんじゃキレねぇよ。
「…あぁ、そう言えばお前のメス犬、なかなか上手かったぞ?」
「どうやって調教した?ん?毎日させてんじゃないのか?まったく悪趣味な奴だな、お前は。する女もカス同然だけどな。」
「――んだと、テメェ!!」
これは流石に無視出来ない。
一発?んなもん、ぬりぃ。
――ブッコロス
力の入った目で橋田を睨み付けながら、立ち上がる足。
進む身体。
鉄のドアの前まで進む。