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レッテル 2

第15章 疑いと手枷


「いや、冗談じゃ冗談!!誰か、はよアイツとめんかい!!あの目は本気じゃ!!ワシ、殺される!!」

さすがに、いくつもの死闘を乗り越えてきた善司でも、彼の本気の表情に恐怖を感じるらしい。

「知らん。オッサン、兄貴に殺されればええねん。バッサリいかれて気分エエわ。今日、祝い酒飲もや。」

慌てる善司を見て高笑いする加藤。

「なんやと!?おどれも道連れ……いや盾じゃッ!!」

「何すんねん、オッサン!!キモいわッ!!」

後ろから加藤に抱きつき、がんじがらめにしようとする善司。
それから逃れようともがく、加藤。
周りの者は気づかないフリ。
面倒事に巻き込まれたくないらしい。

「動くな。」

せまりくる狂犬。
真剣に持っている。
真剣を。
いや決してシャレじゃない。

「やかましいわオッサン!!全然おもろくないわ!!」

「誰がオッサンじゃ!!」

「おどれにきまっとろうがい!!シャレもオヤジ並でおもろくないんや!!」

「じゃあ、おどれが考えてみぃ!!」


「……"刀"が"勝ったな"。」


ひゅうぅぅぅ―――


その場にいたもの全員、極寒の風を素肌に感じたような感覚に陥った。

「おどれも面白くないんじゃ!!」

「なんやて!!」

2人の争いは続く。

「……下らん。コイツらを斬っても刀が汚れるだけだ。……俺とし たことが、迂闊だった。」

刀を鞘に納めながら、溜め息を吐く宗次郎。

「え!?ワシも斬るつもりやったんですか!?」

「プッ。」

間抜け面の加藤を横目に吹き出す善司。

「オッサンのせいやで!!どないしてくれんねん!!」

「誰がオッサンじゃ!!」

再び叫びだす二人に宗次郎は極度の頭痛を感じた。

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