第15章 疑いと手枷
「……嬢ちゃんどうしたんや?」
「ハッ!!」
我に帰ると不機嫌そうな善司の顔が目に入った。
「具合でも悪いのか?」
宗次郎さんもジッと見ている。
いかーん!!
あたしとしたことが、誠也君以外の人に見とれるなんて。
ブンブンと頭を振った。
「嬢ちゃん、岩中の甘チャンウィルスに感染したとちがうか?」
「ならば、お前は今すぐ帰れ。」
善司の言葉に、宗次郎さんが低い声色で言った。
「は?嫌じゃ。………まさか、ワシをはよう帰らして嬢ちゃんと……。帰らん!!絶対に帰らんわ!!」
大きな玄関の上がり口に座り込んだ善司。
まるで子供だ。
「……本当にバカだな、お前は。」
「……やかましいわ。」
更に善司が不機嫌になった。