第15章 疑いと手枷
話は戻って、岩中宅。
そこの敷地内に車は止まった。
運転手と助手席に座った男達が先に降りると、丁寧にドアを開けてくれた。
「ボディーファーストじゃ。」
それって、レディーファーストって言いたいの!?
善司の言葉に思わずあたしはツッコミを入れた。
もちろん、心の中で。
しかも"レディーファースト"という言葉は全く彼に似合っていない。
背筋に悪寒が走る。
「若、レディーファーストです。」
助手席の男が善司の方のドアを開けて耳打ちした。
「知っとるわ!!ボケッ!!」
善司が叫ぶ。
本当だろうか。
どうもこの人は横文字が弱いらしい。
やっぱりバカな人だと改めて感じた。