第15章 疑いと手枷
「その心意気に免じて、この前の事は水に流したる。だが、こっちのシマのサツにはワシ等は口出せんのジャ。他所のシマやからな。」
黙っていた善司が口を開いた。
ガシガシと困ったように頭を掻いている。
「じゃあ――」
清治君が悔しそうに拳を握った。
「アホ、最後まで話聞け。ワシは口出せんけど、宗次郎ならなんとか出来るんじゃ。でも、アイツに頼むんは納得いかんけどな。―――おい、灰皿。」
「へい。」
近くにいた若中が携帯灰皿を差し出す。
「ガキ、ついてくるか?」
「どこに……ですか?」
片言の敬語で清治君が尋ねる。
「岩中組に決まっとるやろ。嬢ちゃんもおいで。」
善司がニィッと笑った。