第15章 疑いと手枷
「サツに連れていかれたんだよ。」
後ろから聞こえてきた声。
「…クソガキ…こんなところに隠れとったんか……。」
善司の眉間にシワが寄る。
声に怒りを含んでいるのは間違えない。
「クソがきゃあ!!」
「もう逃がさんわ!!」
騒ぎ出す男達。
「待て。」
善司がそれを制した。
「ガキ、どういう事じゃ?」
鋭い視線が清治に突き刺さる。
「…進藤の野郎の罠にハマったんだよ。」
「はぁ?進藤って誰じゃ?」
「死鬼って族のトップ。」
「なんやガキか。下らんわ、秋本もマヌケやの。」
善司が豪快に笑っている。
「……俺の命ならくれてやるから、秋本さんを助けてください!!お願いします!!」
土下座して叫ぶ清治君。
あんなに反抗的な彼が土下座までするとは。
しかも、誠也君の為に。
随分と彼は心が成長したのではないだろうか。
「意外とこのガキ根性があるんやな。」
「クソ生意気なガキ思ったら意外と違うな。」
若中達が話している。
けれど、善司は口を閉じていた。
何かを考えているようだ。
妙な緊張感が走った。